息詰まる投手戦。わずか3安打の苦しい試合展開をものにした。

若トラの競争意識が、日替わりヒーローを生む。8回ウラ・二死二塁。途中出場の高山が初球、真ん中やや低めの134キロ直球をとらえた。中日先発が左腕バルデスで、スタメン落ちしていたが、その悔しさをぶつける初球打ちだ。ライナー性の打球が、中堅手の頭上を越した。
「あの打席が初めてだったので、初球からいこうと思っていました。少し詰まっていましたけど、風に乗ってくれて良かったです」
集中力は極限だったのだ。沸き上がるベンチに向かい、右手を突き上げて応えた。
「あの場面で、打てたことが大きい」
殊勲の一打に、自然と表情は緩んだ。ベンチも、総立ちで盛り上がった。

8回表二死一、二塁の場面でマテオを投入する際には、16日の試合で3ランを放った中谷を下げ、高山を9番に入れた。同点の場合は、右腕に9回を託すための措置だったが、バルデスの続投を想定するなかで、左打者の高山を入れた。金本監督が試合後、舞台裏を明かした。「サンケイスポーツ」によると、
「(左腕の)バルデスがそのまま来るのは分かっていたけど、矢野コーチが、“高山で行こう”ということで。矢野コーチのファイン・プレー。(自分の中では)江越かなと。バルデスは、左打者はちょっとキツいかなと思って」

原口が、先制となる3号ソロを放った。両軍無得点で迎えた5回。7番・原口の第2打席、カウント3-1からの、5球目。ここまで打ちあぐねてきたバルデスの135キロの直球を、力強く振り抜いた。打球はぐんぐん伸び、そのまま左翼席へ。原口は歓声をかみしめるかのように。静かに先制のホームを踏んだ。
「しっかりとボールを見極めることでカウントを有利にすることができましたし、前の打席のスイングを修正することで、いいスイングができました。先制することができてよかったです」

節目には、
「(プロ13年目と)長年やっているんでね」
と話した。能見が1500投球回を達成、史上176人目。6回1/3を、5安打1失点。ピンチでマウンドを譲った結果に、ベテランとしての悔しさが残る。好投していたが、勝ち星はつかず、
「野球って難しいね」
と振り返った。

”珍ハプニング”。8回、投手交代しようと思ったら、審判に止められるという前代未聞のハプニング。

※投手は、回頭で一度マウンドに上がったら、最初の打者がアウトになるか、塁に出るかしなければ投手交代はできない。

が、ハプニングだって、何のその。桑原が落ち着いてバルデスを討ち取り、ヒットを打たれたところで、高橋にスイッチ。試合後、香田投手コーチは、
「僕の勉強不足です。桑原にも、聡文にも迷惑を掛けた。ファンの方々にも、申し訳なかった。みんなが頑張ってくれて、ホッとしています」

 <阪神2-1中日>◇17日◇甲子園